自動車が関連する交通事故が絶えない。日々、全国のどこかで発生し、死亡を含めた人身事故が起きている。官民一丸となって事故防止活動が続けられ、このところ、ようやく死亡事故件数が減少しつつあるが、事故全体の発生件数は逆に増加しているのが心配だ。
現在、自動車のない社会は考えられない。経済活動を含めた社会全体の機能は、自動車の有用性を無視しては考えられないが、その一方で自動車は「走る凶器」ともいわれる。悲惨な事故が報じられるたびに、人々は改めて「凶器」の念を強くする。
特に高速道路での事故は悲惨だ。高速で走行する自動車同士の事故は、一瞬の油断から被害を大きくする。信号機もなく歩行者の心配もない安心感から、つい速度を出し過ぎる傾向がある。
一般道では信号機や歩行者、並走する自動車などを考慮して、速度の調整や停車などを繰り返すことが多い。
しかし、高速道では停車や駐車が他車の円滑な走行を妨げ、道路上の危険を生じやすいとの観点から、原則として駐停車禁止となっている。高速道で駐停車が認められるのは、以下の4点に限られる。
高速道路に併設された駐車場内
走行中に生じた故障などで駐車することがやむを得ない場合。
バスなどの停留所料金支払いのため
従って高速道で追突された場合、追突された側にも、一定の過失が認定されるケースが多い。
ボンネットが十分に閉まっていないままで高速道に入り、それを直そうと追い越し車線で一時停車。ハザードランプを点灯しただけで、他の衝突防止措置をとらないでいたところ、後続のトラックに追突されて運転者が重傷を負った。
この事故で名古屋地裁は、追突された被害者に65%の過失相殺を認定している。
深夜のくらやみの高速道で、無灯火・無標示のまま、しかも走行車線に車体の半分をはみ出させて停車していた乗用車に、前方不注視の大型トラックが追突した。この事故でも京都地裁は、被害者に40%の過失相殺を認定した。
高速道路で速度超過から事故を起こしたA車が追い越し車線内に停車したところ、制限速度を約20キロ超過したB車が追突。
B車の運転者は考え事をしていて、前方の安全確認が不十分だったことでA車に追突し、走行車線内で横向きに停止した。
その後、数分の間隔で走行車線を走行してきたC車が、さらに後続のD車も、それぞれB車に接触する事故となった。
この事故で徳島地裁はA対Bの過失割合を3対7、B対C・Dの過失割合を7対3と見るのが相当との判断を示した。
最近、高速道路での交通事故が多発しており、その被害は増大する傾向にある。
自動車が大型化し高速化するのに伴い、被害も大きくなっている。それだけに高速道路のトラック走行には細心の注意が求められている。